「こっからすぐだし、
誰かに絡まれることとかないだろうから」



「えっ…や、あの、
ドーナツ渡したから私はもう…」



「ここから一人で帰らせるの、不安だし。
俺も一緒に帰りたいとこだけど、
飲み物買ってこいって言われてカラオケ抜けてる最中なんだわ。
だから一旦戻んないとだし」




飲み物がたくさん入った袋を持ち上げて、申し訳なさそうに悠里くんはそう言った。




「じゃあやっぱり私は帰るよ…」



「だから、不安だっつってんじゃん。
この辺の他校生、ヤンキーが多いんだよ。
鍵渡すから、家で待ってて」




鈴の付いた鍵を私に突き出すと、『受け取れ』と言うように顎をクイッとあげた。



……でも、



迷惑な気が……。



悠里くんは、鍵を受けとるまで動く様子もないし…。



申し訳ないけど、ポストにでも入れて帰ればいいか…。



おずおずを手を差し出すと、キーホルダーの鈴がリンッと音を鳴らして、私の手に鍵が置かれた。