疑うような視線を向けられた時、



『ねぇ』と背後から声が聞こえた。




「杉浦さん!」




振り返ると、眠そうに欠伸をしている杉浦さんがいた。




「杉浦早織…!」




マミさんは杉浦さんのことが好きじゃないのか、キッときつく睨みつける。



それに動じることなく、杉浦さんはハァと息をはいた。




「相変わらずめんどくさい人」




上履きに履き替えながら、杉浦さんはマミさんを睨みつけた。




「矢代くんが絶対に選ばなさそうなタイプである吉川さんを選んだってことは、
あなたよりもずっと吉川さんが魅力的なんじゃないの?
それを、吉川さんにあたるのはどうなの」




杉浦さんはさっきまでの話を聞いていたみたいで、



クールな表情を変えることなく、淡々とマミさんにそう言った。




「う、うるさい!
っていうか、アンタこそいつまでも悠里に選んでもらえてないくせに!

アハハッ!浜崎くん利用して近づいてるくせにめっちゃ惨め!」




そう言って勝ち誇ったように高笑いするマミさんに、杉浦さんはまた表情を変えることなく『あぁ』と呟いた。