「凛はたぶん、自覚ないと思うけど、
誰を好きなのか、見てたらわかる」



「……見てたって、わかんねーよ。
それは絶対、俺じゃない」



「まぁ、凛に自覚がない分、わかりにくいかもね。

……俺、悠里に
『昔からすげー嫉妬してる』って言ったじゃん。
ほんとにずっと、悠里が羨ましかった。
悠里になりたかった」




ふと声のトーンが落ちて、ドキッとする。



ずっと背を向けて歩いていた真白が急に立ち止まって、



たどりついた公園に視線を向けた。




「昔、悠里の家に来ると
この公園が近いからってよく遊んでたよね」



「あぁ……」



「悠里の家からこの公園に来るときも、
公園で遊んでるときも……
いつだって凛の隣は、
……悠里だった」




そこで初めて、真白がこちらに振り向いた。



その瞳が、まるでどこにぶつけていいのかわからないと言っているみたいに



切なく、揺れていた。




「……」



「何度、俺が代わりたいと思ったか。
自分勝手な悠里にはわかんないよね」