「悠里!」
あーバカ。真白がいるのになんで俺に声かけるんだよ!!
美音がこっちに駆け寄ってきて、俺の手を見てあれっ?と声をあげた。
「アンタ、飲み物2本も買って……
そんなに喉乾いてんの?」
「ちげーし!
凛の分だよ。
アイツ、俺の隣でぐっすり眠って起きねーから、
途中で起きたときに困らねーかと思って買ったんだよ」
「え……
凛、悠里の隣で寝てるの?」
その驚いたような声は、美音のものじゃなくて、
真白の声だった。
「そーだけど、なにか?」
「いや……
俺や美音以外の前で凛が眠るなんて、意外……。
やっぱり凛は、悠里に心許してんだろうな……」
「まぁ、一応付き合いは小学生ん時からだし、
安心できんじゃねーの」
圭を待たせるのも悪いし、
じゃあな、と言ってバスに向かって走った。
……去り際に
真白が、唇を噛んで、悔しそうな表情をしたことには
気付かないフリをした。