「冗談キツ」
「ほんとだよ。
さっき聞いた。
凛は、真白と恋人になりたいわけじゃないってさ」
「……いや、そんなこと言われても」
すぐにはいそーですかともならんだろ。
それに何より、俺は凛の口から『真白くんは王子様』って言葉を聞いてんだ。
好きじゃないなんて、信じる方が難しい。
「真白は……凛の王子様だし」
「王子様が、
必ずしもお姫様と結ばれるとは限らないでしょ?」
はぁ、もう、マジやめて。
そうやって、期待させること言うなっつの。
「そろそろあたしもバス乗るわ」
「おう」
スタスタとC組のバスに向かう美音。
だが、途中で「あ、悠里」と声をあげ、くるりと振り返った。
「“騎士様”も、主人公になれるんじゃない?」
じゃあね、と手を振る美音に対して、
心の中で『くっさいセリフだな』と呟いて、俺もバスに乗り込んだ。