ーーー放課後


学校を出ると、美鈴が本を立ち読みして待っていた。


美鈴「あ、、、。」


俺に気づいた美鈴は、本を鞄にしまった。


正樹「わりぃ。
待たせた。」

美鈴「ううん、全然。」


そう言って、俺たちは駅に向って、無言で歩き出した。





美鈴「どうしたの?」


沈黙を破ったのは、美鈴だった。


正樹「え?」


美鈴「一緒に帰らないかって言うから、なに
か話があるのかなって思って。
元気もない様に見えるし。」


正樹「そうか?」


そう言いつつも、内心はすごく嬉しかった。

俺のことなんてどうでもいいと思ってるんだ、そう思っていたから。


だから、俺は、、、

正樹「、、、、、、、、、、、







あのさ。」


美鈴「うん?」


俺は、覚悟を決めた。


正樹「昨日、、、、


一緒にいた男、誰?




美鈴「え⁉︎







見てたの?」


正樹「ああ。」


俺は、美鈴が嘘をつかないでくれた安心感と、あれは現実だったんだ、という悔しさを噛み締め、短い返事をした。



美鈴「そっか。

見てたんだ。



、、、、、、怒ってる?

私が他の男の人と2人で、正樹に連絡も
せずに会っていたこと。」




正樹「、、、、、怒ってるよ。」



美鈴「そうなんだ。

そうだよね。

普通は、それが当たり前だよね。




















あの人ね、私の従兄弟なの。」


正樹「、、、、、、、へ?」


美鈴「時々、相談相手になってもらっていた
の。
家の事とか、その、、正樹の事とか。



正樹「なんだよ、それ、、、。」


美鈴「黙っててごめん。

正樹の誕生日って夏だよね?

8月17日。

男の子って何が欲しいのか分からなか
ったし、いろいろ考えるの手伝っても
らってたの。

本人に聞いちゃったら、サプライズじ
ゃないでしょ?

それに、去年は私、正樹の誕生日知ら
なくて、何もしてあげられなかったか
ら。

いつも、私の為にたくさんしてくれる
から、そのお礼もしたくて。




ごめんね。

何も話をしてなかった私が悪いよね。

ごめんね。」

俺の目を真っ直ぐ見て、話をする美鈴の顔は、少し悲しそうな顔をしていた。


俺は美鈴から顔をそらして言った。


正樹「、、、、、違う。」


美鈴「え?」


正樹「怒ってる訳じゃない。

いや、少しは怒ってる。

でも、他の男と会ってた事は、そんな
に怒ってない。

怒ってるのは、、、

従兄弟だっていうその男の前で、美鈴
が笑ってた事だ。」


美鈴「、、、え?」


正樹「だって、お前、俺の前で笑った事ない
だろ?

俺は、お前の笑った顔が見たくて、笑
って欲しくて、必死だった。

もう付き合い始めて1年以上になるん
だぜ。

だから、なんか、ムカついた。

なんで、俺の前じゃ笑わないのに、他
の男の前で笑ってんだよって。

なんで、俺はお前を笑わせられないん
だ、喜ばせられないんだって。

そう思ったら、自分に腹が立って。


それで、、、、


今日は、確認したかったんだと思う。

俺は美鈴の彼氏なのかを。」


美鈴「私が正樹の前で笑った事がなかったの
は、笑わなかったんじゃなくて、笑え
なかったからだよ。

もちろん、正樹は何も悪くないの。

悪いのは、



私なの。」


正樹「どういう事だよ?」


美鈴「、、、、






実はね、、、、、」