初めてだった。



美鈴の笑顔を見たのは。



それ自体は嬉しいもの



、、、のはずなのに、




俺の手で笑わせてやれなかった。

俺の前で、笑ってくれなかった。



そう思うと、


自分に対して、


美鈴に対して、


腹が立った。



怒りが込み上げてきた。



なんでだ?



俺は、あいつの彼氏じゃねえのか?

俺とあいつは付き合ってるんじゃねえのか?



半分放心状態になったまま、俺は家に帰った。

そして、手にしていた袋をそのまま自分の部屋のゴミ箱に乱暴に投げ捨てた。


その後の事は、よく覚えていない。




気がつけば、朝になっていた。

いつの間にか寝ていたらしい。

部屋は誰が見ても分かる程に

荒れていた。

どうやら、部屋で暴走したらしい。



リビングに向かうと、4つ上の兄貴、俊也(トシヤ)と、3つ上の姉貴、彩月(サツキ)が向かい合って朝食を摂っていた。


俊也「おお〜、随分と遅いお目覚めで。
もう、8:30だぞ。
お前、遅刻決定だな(笑)
にしても、昨日は派手に暴れたな。」


彩月「おはよう、正樹。
ほんと、久し振りに大暴れしてたね〜
怪我してない?
なんかあったの?」


俊兄(俺はトシニイって呼んでる)は、相変わらず俺を子供扱いしてくる。

姉ちゃんは、少し笑いながらも、俺を心配してくる。


(久しぶりにっていうのは、中学の頃に苛立つ事があった時は部屋で暴れていたからだ。)


正樹「おはよう。
まあ、ちょっと、、、いろいろあった
んだよ。」

彩月「おお‼︎恋?恋???」


興味深々で聞いてくる姉ちゃんに、


正樹「まあ、、、そうだけど、、、。」


彩月「そっかそっか〜
正樹も高校2年生だもんね〜

なにか相談したいことあるなら、お姉
ちゃんが聞いてあげるからね!
頑張りな‼︎」


正樹「、、、ありがと。」


短い沈黙があったあと、俊也が口を開いた。


俊也「正樹、、、」


正樹「うん?」


俊也「話くらいなら、聞いてやるからな。」


正樹「‼︎、、、、うん。ありがと。」


俊兄がこんな事を言ったのは、少し驚いた。

でも、正直嬉しい言葉だった。