早く、一刻も早く追いかけなければ……
「……どうしてそこまで焦るんですか?彼女はただの新人の使用人。孤児だったボディガードですよ~?ご主人様を守るのが仕事ですから、彼女は仕事を全うしたじゃありませんか☆」
あれ?
言われてみればそうだ。
今までも使用人は何人か来たけど、俺の身代わりで怪我して、耐えられないと二、三日で辞めてる。
だから屋敷の広さに対して、執事とメイドが一人ずつしかいなかった。
何で、たかが使用人の女一人にこだわるんだ、俺は……
「……なーんちゃって。冗談ですよ!もう貴方にとって、あの娘は使用人以上の……大切な存在なんでしょ?」
真吹が茶目っ気たっぷりに笑い、手を差し出して俺を立たせた。
「使用人、以上の……」
あいつがいつの間にかベッドに潜り込んでたのは、驚いたけど嫌じゃなかった。
いちいち食べ物を口に入れるたび、美味しいと言って顔を綻ばすのを見て、もっと見てみたいと思った。
今までの使用人には、こんな事思った事が無い。
俺は……あいつをどう思ってるんだろう?

