うぎゅっ。痛ぁ……頭打ったぁ……


「わりィな、坊っちゃん!ちょっくらこの嬢ちゃん借りるわ」

「おい待て!そいつを返せ!!目的は何だ!?本物の蝶野はどこだ?!真吹は?!」


全力疾走して車に追い付こうとする時流様が窓から見えた。

さすが文武両道な方。走るのもお速い。

いや、これどころじゃない!

は、早く逃げなきゃ!今ならまだ降りられるかも……

ドアに手をかけたけど、ロックが掛かってる。

嘘……!!?


「じ、時流様ァ!!」


私は起き上がって内側から窓を叩く。

私、どこに連れてかれちゃうの!?


「市木ーー!!」

「あーあー、坊っちゃんはうるさい上に質問が多いねぇ、自力で考えんのも勉強だぜ?あと、ブッキーもちょーのんもいないよ、大人しくしててね~」


ブッキー?ちょーのん?

あだ名……?


「んじゃーな。唐沢んとこのガキ」