時流様は笑いをこらえるように口元を手で抑えてる。
うぅ……なんか食べづらいんですけど……
「っはは……ったく、ほら」
「?」
時流様の指が、私の顎を軽く掴む。
「口の周り、ついてるぞ。俺の使用人なら身嗜みは整えておけ」
「!」
親指で口を拭われた。
そのまま時流様はパンの欠片が付いた親指をペロリと舐める。
「お、美味いな。たまにはこういうのもアリか。今度来る時昼飯は購買にするか」
……ん?
今時流様……何された?
えっと……私の唇を拭った指を、今……
今……な、舐め……
「ぅぎゅっ」
パンを飲み込んだ後の口の中から、変な音がする。
間接的だけど……昔先生が教えてくれた愛情表現の一種だったはず。

