あ、開いた。
鮮やかなオレンジ色の丸い物が入ってる。
「開いたな。この時間のここの廊下は生徒しかいなくて先生はいない。今食べても良いぞ」
学校で歩きながら食べるなんて、お行儀悪いと思うけど……
食欲と好奇心に根負けし、私は目の前の食べ物にかぶりついた。
「!」
食べたことの無い味が口の中にふわりと広がった。
真吹さんが作ってくれたご飯とはまた違う美味しさ。
『甘い』って言うのかな?とにかく楽しい気分になる味。
麗歌ちゃんが気に入るのも分かる気がする。
「美味いか?」
「は、はい!」
「そうか。こぼれるから車に着くまでに食べきれよ」
「はい!」
時流様は面白そうに私を見てる。
さすがにはしゃぎすぎたかな。
菓子パンって麗歌ちゃんが軽く渡したくらいだし、普通の人には大したものじゃないのかも。

