というか、蝶野と真吹が誰を買おうが、結局雇うのは俺なんだ。

変な奴が来たら嫌だ。雇い主が見て決めなければ。


「それなら俺も行く」


椅子にかけていたジャケットを羽織り、出かける支度をする。

と言っても、財布やハンカチ等の必需品は蝶野が持ってるから、あまりする事はないが。


「でっすよねー☆お車は用意しておりますので、早速行きましょ!」


もう蝶野が玄関のすぐ前に車を停めている。

真吹が助手席、俺が後部座席に乗り込むと同時に、蝶野はアクセルを踏んだ。






「時流様、着きましたよ」

「おう」


蝶野が恭しく後部座席の扉を開ける。

俺は車から降り、地に足をつけた。


隣町のはずだが、随分と田舎だ。

児童養護施設の周りには、田んぼと畑と森しかない。

駐車場のアスファルト以外、茶色と緑ばかりだ。