相手はこの校舎を挟んだ反対側の建物で待機している仲間のようだ。


『出来てるのは出来てるのよ。けど……』


電話に出たのは、口調は女性だが声は男性の、いわゆるオネエだった。


「けど?」

『さっきからずっとこっち見てる子がいるのよ。長い髪をハーフアップにしてるカワイイ子。スコープ無しじゃ見えない距離のはずなんだけど……これじゃ狙えないわぁ』


うわ。

超人かよ。

こりゃ、本格的にこっちの敵になりそうだ。

男はロリポップの棒を落としそうになった。


「……分かった。今日は一回撤退しよう」

『えぇー?!アタシ、今日メイク頑張ったのにー!』

「仕事に化粧は関係ねーだろ!あとテメェは野郎だろーが!一般人に見つかったらやばいし、行くぞ。電話切るからな」


ピッと通話を切り、舌打ちをしながらポケットにスマホを滑り込ませる。


「帰るぞ。荷物全部持て」


構えていた銃器全てをケースにしまってアル中青年に持たせ、男と青年は帰路につく事にした。