小声で叱るようにわけを聞いてみる。


「あー……生物や人体関係の知識は、昔一度お世話になった師匠的な存在の人に教えて頂きました。それ以外は分かりませんけど」


困ったように笑う市木。

殺人鬼を騙るには、それなりの知識も必要になるという事か……

うーん、やっぱり昨日会ったばかりだからか、こいつがよく分からない。

心が読めない。

結局のところ何者なんだ、こいつ?



「あ」

「?」


市木が窓の外を、何かに気がついたように見た。

何が『あ』なんだ?

何か見つけたのか?


「危ないっ!」

「うぉっ?!」


俺は椅子ごと突き飛ばされ、市木は俺の前に立ちはだかって日本刀を縦に振った。

ガシャーン、スパーンとうるさい音が同時に鳴った。

な、何が起こったんだ?