「そんなの、俺だって聞きたい!家じゃ、頭空っぽで馬鹿全開だったのに……」


どういう事だ?

無知無感情は演技だったのか?

市木を見ると、貸してやった予備の教科書は一切見ていない。

丸々暗記してるようだ。

一般常識は無いが、学力だけは俺と同レベルという事か?


「じゃ、次は問三な。二十螺旋構造を提唱した学者は?」

「はい。ワトソンとクリックです」

「正解……」


市木の完璧な回答は続いていく。

流石に先生も焦ってきたようだ。

クラス内におぉーっと感嘆の声が上がる。


「ちょ、ちょっと難しいのやってみるか!体液には三種類あるが、何と何と何?何も見ないで答えられたら凄いぞ!」

「血液、組織液、リンパ液、ですよね?」

「正解!すごいな、市木さん!」


わぁっと拍手が教室に広がった。

市木は照れながらお辞儀をし、優雅に長いスカートを巻き込んで席についた。


「おい、なんで知ってるんだ?」