時流様の通う学校はかなり広く、校舎も大きい。

私立の綺麗な学校だけど、一学年が十クラス以上あるそうで、地図があっても迷子になってしまいそうだった。

時流様と蝶野さんの会話から分かるように、私達が向かってるのは二年K組。

エスカレーターがあるから昇り降りは楽だけど、K組は五階だから時間がかかって面倒だ。


「ここですよ」


やっと到着した。

時流様が通うには普通すぎるくらいの、ちょっと広めなだけの何の変哲もない教室。


「おー、そうだな。懐かしい」

「懐かしいって……最後に来たのは一ヶ月前でしょう」

「記憶から消えかけてたから、俺にとっては懐かしいんだよ」


よく分からない会話をしながらも、時流様はちょっと楽しそうな顔をしてる。

プレゼントを貰った時、鬱陶しそうだったけど、クラスメイトという仲間に会えるのは、やっぱり嬉しいみたい。


「それでは市木さん、行ってらっしゃい。貴女は一応転校生ですから、時流様を護衛しつつ、クラスに溶け込めるように精進してくださいね」

「え?転校生……ですか?」