ぶんぶんと頭を振って、邪念を追い払った。
「すみません、今参ります、時流様!」
私は、時流様のお側で仕事が出来ればそれで良い。
それ以上望んじゃダメ。
呪文のように頭の中で繰り返しながら、私は時流様の元へ走って行った。
☆
「俺のクラス、何組だったっけか……」
「K組ですよ、時流様」
「おう、蝶野。ありがとな」
「いいえ。ですが、自分のクラスくらい覚えて頂かないと……」
「仕方ないだろ。久々に行くんだから」
時流様と蝶野さんが地図片手に迷いながら歩く。
私はその後ろを、ルートを覚えながら歩いていた。
ちなみに真吹さんは、時流様へ届いた貢ぎ物のお片付けをする為、一回車で唐沢邸に戻ってる。