リムジンを降り、地に足をつけた。

あと少しで三月だというのに、外風が冷たい。

久々に着た制服が風を受けてはためいた。


「時流様、お荷物は私が持ちますよ」

「構わん、必要ない。自分で持つからいい」


蝶野の気遣いを断り、俺はまっすぐ歩いた。

後ろには使用人二人+新入りの使用人一人が従えている。



キャアアアアアアアアアア!!!



「時流様!!」

「お久しぶりです、唐沢様!」


校門を潜った瞬間、耳がキーンとなるような黄色い歓声が俺を迎えた。

俺のファンだという女子達が花道を作ってる。

耳障りだな。

中には金目当ての男子や教師まで混ざってるのが気に食わない。

というか、俺が今日登校するという話をどこで知ったんだ?