起こすかどうするか迷いながら、ベッドの横に膝を抱えて座った。
背中には壁、右にはチェスト、左には時流様がいるベッド。
視線を前方だけに向けられ、いつでも臨戦態勢がとれるから、私が昔からよくやってた、一番落ち着く姿勢。
真横にあるベッドで眠る私のご主人様の横顔が、ちょうどよく見える。
それにしても、本当に綺麗なお顔をされてる。
昼間見た、御曹司らしい威厳ある表情とはまた違い、緩んだ表情をしてる。
絵に描いたみたいに美しい。
まつ毛も長いな……
「なんで私だったのかな……」
こんなに綺麗なら、もっと身なりの整った子を使用人にした方が良いのに。
なんで何にも知らない知能レベルの低い私にしたんだろ。
「ん〜……」
時流様がゴロンと寝返りを打って、私の方を向いた。
ど、どうしよう!起こしちゃったかな……?
「いちき……」
え、私?
寝言みたいだけど……私を呼んでる?