そういえば、あいつの首……

妙な赤い跡があった。

何か、手の跡のような。

児童養護施設にいたなら何かしら家庭で問題があったんだろうと推測は安易に出来るが、あれは見ていて痛々しい。

首を絞められた跡か?

やったのは家族の内の誰なんだ?

どうしてされたんだ?

……たくさん知れたと思ってたのに、思った以上に俺はあいつの事を何も知らないな。

俺は昔から将来が決まってて、何不自由無く伸び伸びと自由に育って今に至るが、あいつはそうじゃないんだよな……

近いようで遠い、どこか似ていて似ていない。

そんな市木の存在を考えながら、俺は夢の世界へと飲み込まれていった。