そういった人種なら、人を殺しても仕方ないと言えるが。


「そうか。でも、これはマナーだからな。出来れば身につけてくれ。俺を真似してれば良いから」


もしこいつをボディーガードとしてパーティに同行させた時、はしたない所を客に見せるわけにはいかない。


「でも……」

「戻すのを不安がってるのか?大丈夫だ。真吹はあんな感じだが、料理だけはうまいからな」

「料理だけ?」

「掃除はからっきしだ。やると何故か逆にホコリが増えるから、だいたい蝶野か俺がやってる」

「……ふふ」


また笑ってくれた。

口角が少し上がり、頬が薄桃色に染まる。

この笑顔は人形というより、天使だな。

この生活に慣れてきたか。

俺にとっても嬉しい事だ。


「それじゃぁ、私が掃除をやらなくてはいけませんね……体力、付けなきゃ」

「そうだな。おいおいそうなるな。頼むぞ」


えーと、と市木は慣れない手つきでナイフとフォークを握る。