「……?」
こいつもしかして……使い方が分かってない?
「お、おい、ちょっと待て!ナイフとフォークを使え!」
「……ないふ?ふぉーく?」
市木はキョトンとした目で前にいる俺を見つめた。
やっぱりか。
「……あー、ほら、先端が尖ってて小さい包丁みたいなのがナイフ、先端がギザギザなのがフォークだ。食事を摂るときに使う道具だぞ」
嘘だか本当だかまだ分からないが、殺人鬼と謳われるくらいなら、ナイフくらい知ってるんじゃないのか?
こいつの無知さに呆れつつ、俺は指をさして教える。
小紺はぼんやりとした表情のまま、だけどしっかりと頷いて覚えようとしてくれた。
「お前、普段の食事は?」
「人肉しか食べた事ありませんでしたね……施設の料理も、どういう訳だか美味しく感じられなくて……戻してしまって……ほとんど食べてません」
道理で児童養護施設にいたのに身体が細いわけだ。
殺人鬼というより食人鬼なのか?