髪もきっちりしたハーフアップに結われて、耳元から風が入って寒い。


「こ、こんなのがお好みなのですか?時流様は……」


新しい使用人として時流様の隣にいても大丈夫なように、もっと落ち着いたシンプルな服の方が良いと思うんだけど。


「えぇそうですよ!ミニスカに萌えない高校生男子はいません!」


興奮気味に語る真吹さん。

『萌え』が何かよく分からない上、ファッションには疎い私だけど、その偏見はどうなのかと思う。


「さぁ、この靴を履いて、我らのご主人様の元へ行きましょうぞ!」

「え?本当にこの姿で行くんですか?……はしたなくないでしょうか」

「大丈夫大丈夫!!もっと自身をお持ちください!せっかく可愛いんですから!」


かわいい?

私って可愛いの?

鏡とかあまり見たことないし、人と必要以上の会話もしてなかったから、自分じゃ分からない。

真吹さんは私の手を引いて、時流様と蝶野さんのいる大広間への階段を降りていった。