「は……」


どうしてそこまで知ってるの?

施設のスタッフさん達ですら知らなかったのに!

別に隠してたわけじゃないけど、やっぱり堂々と言える事じゃないから黙ってたんだけど……


「そういうワケありの美少女ってさ、結構高値で売れんのよ。薄幸のかわい子ちゃんを自らの手で慰めて生涯を共にするーって、二次元と三次元の区別がつかない頭のイカれたおっちゃんとかにさ」


ボロボロの服に値札がついた紐を首にかけた自分を、醜いおじさん達が買っていくのを想像した。

時流様に拾われなかったらいずれそうなってたかもしれないけど、あの優しさと温かさを知ってしまったら、もう恐怖しか感じない。

それを振り払うように、私は話を次へ進めた。


「二つ目の質問です。私は……貴方の事を何と呼べば良いでしょうか?」

「俺の名前、って事?……まぁどうせ後でお前と別れるだろうし、本名言っても良いか」


信号が青に変わり、車が急発進する。


「俺は小薗江。黒猫団ってゆーマフィアのリーダーだよ」

「黒猫団の、小薗江さん……」


マフィアにしては随分と可愛い団体名。