「東雲くん?」 部屋から出てすぐの曲がり角にそれらしき後ろ姿が見える。 ちらりと見えるもう一つの影。 東雲くんはなぜか焦ったような表情をして口を動かしている。会話までは聞こえない。 誰かと話しているのであれば一言もうすぐ撮影が再開することを伝えようと思って近くに行くと、東雲くんが悲痛な声を上げた。 「すみません、離してください!」 何やら揉めている様子に私はギョッとして立ち止まった。 私の足音に気が付いたのか、東雲くんがハッとして弾かれるようにこちらを見た。