「か、薫……くん……」 私が名前を呼ぶと、薫くんは緊張したように息を呑んだのがわかった。 それから、何かを言おうと口を開きかけたようだけど、彼の口から何か発せられることもなくふっと目を閉じて私から視線を逸らした。 わかってはいたし、自分でしたこととはいえ傷つかないわけもなく――けれど今は仕事中。 私情を挟むわけにはいかないと、平気な振りをする。 私は扉を後ろ手で閉めて、目の前に棒立ちになる薫くんに軽く会釈をして机の邪魔にならない位置に備品を並べていく。