気の迷いや何かの間違いで他の人に目移りしたって構わない。 でも、彼女の心が俺から離れてしまうのは死ぬほど嫌だ。 それならいっそ殺して欲しいと思うほどに、自分以外の人と彼女が一緒になるなんて――耐えられない。 「薫」 悶々と考え込んでいると、頭上から高めの女の人の声が降ってきて俺は反射的に顔を上げた。 「……北原さん」 長いまつ毛に大きなキャットアイを縁取るアイシャドウにアイライン。 真っ赤なルージュが目に痛い――北原姫香。 かつての、俺の恋人だった女性だ。