徐々に目を覚ましたのか、身を起こそうとした琴音は顔を歪めて動けずに終わる。
俺を見た目は、絶望も恐怖もしていない。むしろどこか安心したような目をしていた。
「…起きれねぇのか」
「…コク」
「ならそのままでいい。質問に答えろ」
琴音の右手を布団から出し、タブレットの上に置く。
「どうして舛田と接触した。俺は無視しろと言ったはずだ。なぜ破った」
「…」
琴音の表情に一瞬迷いが見えたような気がしたが、すぐに視線を逸らされる。
こいつ、言わずに済むと思ってるのか。
頬に手を当てるとすぐに視線は重なるが、言わないと言うように口は固く閉じられたままだ。
「琴音、言わねぇなら容赦しねぇ。奴隷にするぞ」
「…」
「お前が口を開くまで、閉じ込めるか?水も飲ませねぇ」
「…」
「…おい、脅してんだぞ。反応しろ」
普通なら聞いて恐怖するはず。なのに琴音の顔はピクリとも表情を見せない。
タブレットの上に乗せても動かそうとしねぇ。


