私のご主人様Ⅲ


「…若、琴音はなんで」

「俺が看る。お前は呼ぶまで来るな」

今すぐにでも琴音を抱き抱えようとする暁の手をかわし、命令を下す。

その命令に目を見開いて呆然と立ち尽くす暁の隣を通り抜け、屋敷に向かった。

「…っ嫌です!!」

突然背後から響いた声に思わず振り返る。暁は拳を固くして俺を射抜くような視線を向けてくる。

「何かあったんですよね!?琴音がまたパニックになったら、止められるのは俺か奏多さんだけですっ!絶対に聞き出します。だから、傍にいさせてくださいっ!!」

「暁、落ち着きな~。あれ、若のせいじゃ…」

「なんで意識ないんですか?倒れたせいじゃないんですか!?」

「っい、いや俺も知らないんだけど…わーかー!!」

なだめようとした信洋でさえ、暁の勢いに押され、投げ出しやがった。

らしくない暁に他のやつらも戸惑いを見せ始める。

今の暁は監視役とはいえない。暁が琴音に執着しているのか?なら、いつから暁は琴音に執着し始めた?

…いや、そんなことはどうでもいい。とにかく暁のとこは後回しだ。