「…若、琴音はなんで」
「俺が看る。お前は呼ぶまで来るな」
今すぐにでも琴音を抱き抱えようとする暁の手をかわし、命令を下す。
その命令に目を見開いて呆然と立ち尽くす暁の隣を通り抜け、屋敷に向かった。
「…っ嫌です!!」
突然背後から響いた声に思わず振り返る。暁は拳を固くして俺を射抜くような視線を向けてくる。
「何かあったんですよね!?琴音がまたパニックになったら、止められるのは俺か奏多さんだけですっ!絶対に聞き出します。だから、傍にいさせてくださいっ!!」
「暁、落ち着きな~。あれ、若のせいじゃ…」
「なんで意識ないんですか?倒れたせいじゃないんですか!?」
「っい、いや俺も知らないんだけど…わーかー!!」
なだめようとした信洋でさえ、暁の勢いに押され、投げ出しやがった。
らしくない暁に他のやつらも戸惑いを見せ始める。
今の暁は監視役とはいえない。暁が琴音に執着しているのか?なら、いつから暁は琴音に執着し始めた?
…いや、そんなことはどうでもいい。とにかく暁のとこは後回しだ。


