私のご主人様Ⅲ


暁に怒鳴られている琴音ちゃんはみるみるうちに肩を落として項垂れているように見える。

…とりあえず、戻ってからでもいいか。

森末さんが焦るのを尻目にドアを開けて、車を支えに立ち上がる。

「暁、説教は戻ってからゆっくりすればいいだろ?」

「っ奏多さんは黙っててください!!今どれだけ危険なのかこいつ全く分かってねぇからっ!!」

「ッ!?」

頭に血が上ってる暁に何を言ってもダメか。

琴音ちゃんに視線を向けると、俺を見てポカンと口を開けてしまっている。びっくりしてる?

手を振ると、琴音ちゃんは我に返って目を潤ませると、駆け寄ってくる。

あ、やべ…。そそくさと座席に座ったところで飛び付いてきた琴音ちゃんを受け止めると、しがみつくように抱きついてきた。

「っ………………………!!」

「心配かけてごめんね。元気だった?」

「っ~!ギュッ」

何度も頷きながら頬を擦り寄せてくる琴音ちゃんの頭を撫でると、大人しくなって抱きついたまま見上げてくる。

…甘え下手だと思ってたけど、そうでもないらしい。

また俺の胸に顔を埋める琴音ちゃんを甘やかしたくなるのは仕方ない。