私のご主人様Ⅲ


信洋さんに見送られ、森末さんが運転する車で学校に向かう。

暁の機嫌が悪いのは多分俺が無理を言ったせいだ。だから下手に口を開かないでいた。

「…あれ?」

「どうかしました?」

「…ッ!?あいつ!!」

学校の校門から少し離れた場所にいつも森末さんは車を止める。

そこにつくほんの手前でなにかを見つけた森末さんに俺と暁も前を見る。

すると、暁が顔色を変え、止まりきっていない車から飛び降りて、そこに佇んでいた琴音ちゃんに駆け出していく。

暁が飛び降りたことで急停車した車はじりじりと前へ進み、琴音ちゃんを怒鳴り付けている暁の傍に近づいていく。

「っいきなり飛び降りるなよ…」

「琴音ちゃん、どうして…」

「遅くはないと思うんですけど」

森末さんの言う通り、時間はいつもと同じだ。なのに、琴音ちゃんはどうして勝手に校門を出たところで待っていたんだろう。

襲撃があってからは琴音ちゃんのケータイにワンギリして、来たことを伝えてから校門を出るように暁と信洋さんが約束していたはずなのに。