私のご主人様Ⅲ


「立って話すのもなんだし、座りなよ」

「…」

私から離れた舛田は、少しほこりを被った机に腰かける。

でも、近くには行かない。ドアを背にしたまま舛田を見つめると、信用ねぇ、傷つくとかぶつぶついい始める。

でも、まぁいいやと言う声と共に視線が向けられた。

「単刀直入に言うわ。取引しねぇか?」

「…」

唐突に言われた言葉に一瞬耳を疑った。取引?一体何を求められてる?

今の私に出来ることなんかほとんどない。それこそ、差し出せるものなんか、なにも…。

想像がつかなくて、返事をしないまま舛田を見つめ返す。

「もしかして疑ってる?」

「…」

「…まぁ、だよなぁ。うーん。実はね、永塚組を潰そうと思ってるんだよねぇ」

まるで冗談を言うように、さらりと言われた内容は、とても聞き流させるものじゃない。

目を見開いて舛田を見ても、飄々とした顔は変わらなかった。