「宮内琴葉ちゃん」 「ッ!!?」 久しぶりに呼ばれたフルネームに動きが止まる。 ゆっくりと視線を向けると、笑みを浮かべた舛田と視線が重なる。 どうして、この人が知ってるの? どうして、名前を…。 じっと見つめていると、舛田は近付いてくる。 動くことも出来ないまま、目の前に来た舛田は手を伸ばしてくる。 「ちょっと話さない?ね、琴葉チャン」 掴んでいたドアノブを取られ、僅かに開いていたドアは完全に閉じられる。 薄暗い部屋のなかで舛田がニヤリと広角をあげたのが分かった。