華さんの仕切りもあり、それもあっという間に終わる。タイミングよくやって来た試作組のお陰でメニューは確定した。
「それじゃ、試作組は作り方書く人と教える人に分かれて。こっちも半分に分かれて、教えてもらう人とメニュー表書く人でよろしく」
時間を無駄に使うことなく効率よく作業を指示する華さん。
普段はそんなに目立たないけど、本当はクラス委員とか似合いそう。
それぞれの組が半分に分かれて作業再開。
メニュー表を書く方に残ると、隣に座ったのは麻夏くんだ。無駄話をすることなく、黙々とメニューを書き上げていく。
「ねぇ、平日も土日もバイトしてるって嘘だよね」
手元の仕事が終わった瞬間、麻夏くんの低い声にギクリと体が揺れたのが分かった。
視線だけを麻夏くんに向けると、麻夏くんは手元のメニュー表を見つめている。なのに、なにかを探ろうとする鋭さを持っていて嫌な緊張感が体を包む。
「というより、バイトも嘘でしょ。葉月さんバイトって言う度になんか隠してる顔になる」
「…」
「それに、朝。祭に誘われた時、葉月さんは真っ先に永塚に視線を向けた。あれは判断を求めたんでしょ」


