季龍さんが近くにいるおかげもあり、お呼び出しされることもなく平穏な時間を過ごす。
だけど、その時間も6限になると大騒ぎになる。
「私がこれ持ってきたんだからあんたはそっちにしなさいよ!!」
「浴衣が良くても着てる人が悪いんじゃ浴衣がかわいそうだよ~」
「っあんた本当にムカつく!!」
接客班は持ち寄ったらしい浴衣の取り合いでまたケンカが起こっている。
季龍さんはというと、我介さずと言わんばかりに自身の席でスマホを弄っていた。
それらを遠目に厨房班はまた二手に分かれて試作と材料の調達のための作戦会議を同時進行することになった。
華さんはため息をつきながら手にした資料を机に当てて揃える。
「接客があんなんなら、お客さんも来ないわよ」
「そんなに買っても余りそう」
「まぁ、安いとこで買っとこう。最悪持って帰ればいい」
厨房班のムードも暗めになるのは仕方ない。
それでも、切り替えるように手を打った華さんは、広告チラシを元にお店の選定を始めた。


