距離が離れていく。


なのに夜の空は空いた距離を測るには難しくて、離れていく実感をいまひとつ持てないまま。


『…必ず迎えに行く。だから、待ってろ』


季龍さんの声が頭の中に響く。


あなたがそう望むなら、私は逆らえない。


でも、…でも、出来ることなら離れたくなかった。傍にいたかった…。


それだけでよかったのに…。


「…き、りゅ……さん」


どうか、あなたが無事でいられますように。


そして、季龍さんの言葉が早く現実になりますように…。