「頼んだぞ青海、暁」
「はい」
「命に変えても、必ず」
話が終わったのか、青海さんと暁くんも前の座席に乗り込んでいく。
最後に後ろを閉めようとした田部さんだけど、季龍さんに肩を持たれ、苦笑すると車に乗り込むために離れていく。
最後にそこに残った季龍さんは、私と梨々香ちゃんを交互に見つめ始める。まるで、死ぬ前に私たちの顔をその目に焼き付けているようだった。
「お兄ちゃん、絶対帰ってくるから!」
たまらなかったのか、そう叫んだ梨々香ちゃんは、すぐさま深くうつむく。
梨々香ちゃんと繋いだ手に、何かが落ちる。それはポロポロと何度も降ってきた。きっと、季龍さんに心配をかけまいと、泣き顔を見られないようにするためにうつむいたんだ。
「あぁ。夜更かしばっかすんじゃねぇぞ」
「っ…お兄ちゃんも、ね!」
涙を拭い、満面の笑みを向けた梨々香ちゃんは、耐えきれなかったのかすぐに顔を背けた。


