私のご主人様Ⅲ


「頼んだぞ青海、暁」

「はい」

「命に変えても、必ず」

話が終わったのか、青海さんと暁くんも前の座席に乗り込んでいく。

最後に後ろを閉めようとした田部さんだけど、季龍さんに肩を持たれ、苦笑すると車に乗り込むために離れていく。

最後にそこに残った季龍さんは、私と梨々香ちゃんを交互に見つめ始める。まるで、死ぬ前に私たちの顔をその目に焼き付けているようだった。

「お兄ちゃん、絶対帰ってくるから!」

たまらなかったのか、そう叫んだ梨々香ちゃんは、すぐさま深くうつむく。

梨々香ちゃんと繋いだ手に、何かが落ちる。それはポロポロと何度も降ってきた。きっと、季龍さんに心配をかけまいと、泣き顔を見られないようにするためにうつむいたんだ。

「あぁ。夜更かしばっかすんじゃねぇぞ」

「っ…お兄ちゃんも、ね!」

涙を拭い、満面の笑みを向けた梨々香ちゃんは、耐えきれなかったのかすぐに顔を背けた。