頭に手を回され、そのまま重なる唇。

それは1回では終わらなくて、何かを欲するように重なってくる。

「っん!?……っあふ…」

「…」

いきなり口の中に入ってきた何が熱くて、頭がくらくらする。

気づいたら布団に押し倒されていて、何度も重なる唇が熱くて、頭がくらくらして、おかしくなってしまいそうだ。

しばらくして離れた季龍さんはもの足りなさそうな顔をして、息の上がった私に口角をあげる。

そんな顔に心臓が高鳴った。

「琴音」

「…」

「俺は大丈夫だ。だから、聞いてくれないか?」

「…で、も…」

「心配するな。もう投げやりになんねぇ…。それに、聞いてほしいんだ」

季龍さんの目はしっかり私の姿を映していて、さっきまでの暗い目じゃない。

頷くと、季龍さんはまた私を膝の上に抱き上げて、手を握ってくれる。私の手を包み込む季龍さんの手は大きくて、握られているだけなのに安心した。

一度深呼吸をすると季龍さんは私と視線を重ね、口を開いた。

「さっきも言ったが、俺と梨々香は関原組の組長の子どもだ。なんで逃げ出したのは今から3年前。でも、そのきっかけは7年前の話だ」