「…そうだ。それで満足か」

「え?」

「ッ!?」

静かな教室に響いた声は、一体何を意図しているのか。

問いかけた麻夏くんでさえその答えに窮して愕然とした表情を浮かべている。

そして、私でさえも。季龍さんの意図が掴みきれずにただただ頭の中を巡る言葉は、決してあり得ないはずの答えだった。

「っなんで!?」

「嘘でしょ!!?」

「いやぁぁあああ!!」

誰かの声を皮切りに悲鳴のような声が上がる。そして突き刺さるのは憎悪にも似た感情の塊だった。

どうして。ようやく動き出した頭はただ疑問符を浮かべるだけ。

どうしてそんな嘘をつくの?どうして、危険をおかそうとするの?

聞きたいことは山ほどあるのに言葉出てこない。頭の中で溢れて、大洪水を起こしている頭は正常な判断なんかつけられなかった。

季龍さんに連れ出されるままに教室を出る。そして、廊下でも一瞬の静寂後、響いたのは悲鳴と絶叫。突き刺さるのは嫉妬、憎しみが混ざりあった負の感情ばかりだ。