…え?

頭がついていない。何が、どうなってる…?

混乱して整理がつかない頭。呆然としたまま、動けないでいると、背中に回った腕に力がこもった。

「悪かった」

「…」

「俺が悪い。だから、もう怖がるんじゃねぇ」

「…ぇ」

耳元で囁かれた言葉に、何を言われているのか分からなかった。

でも、徐々に言葉の意味を理解して、自分でも顔が青ざめていくのが分かる。

季龍さんに、謝られてる。

そのことを理解した途端、それまで全く言うことを聞かなかった体は驚くほど簡単に動く。

季龍さんから離れ、床に膝をつき、頭を下げた。

「申し訳ありませんっ!全て私のせいです。申し訳ありません…」

「琴音」

「申し訳ありません…。私が、季龍さんの言う通りに出来なかったから…」

「琴音、やめろ!」

肩を捕まれたと同時に、力強く上げられる。抵抗できることなく、顔を上げさせられると、季龍さんはまた私を抱き締めた。