帰りの車の中は沈黙に満ちていて、行きの車の中が嘘のようだった。

それに、私の頭の中には墓石に刻まれていた名字がしっかりと浮かんできていて、とても他のことを考える余裕なんてなかった。

墓石に刻まれていたのは、『陣之内』

私が仕えていた、財閥の名家。

私を売った、正裕様の家だ。

『…許せなかったんだろう。正義感の強い彼女だったからね』

許せなかったこととはなんだろう。

陣之内家が犯した罪は一体…。

私にはそれを証明する確証も何もない。

…でも、引っ掛かることは確かにあって、もやもやが晴れることはなかった。