私のご主人様Ⅲ


奏多さんは意味ありげに笑うと、さてなんでだろうねなんて言って誤魔化される。

余計に気になるじゃないかっ!!

頬を膨らませるとその頬をつつかれてしまう。

「たまにはいいだろ」

暁くんのぶっきらぼうな声。奏多さんに甘えていて、呆れられてるときの声と同じ。

同じはずなのになんだろう、この違和感は…。

違和感を持った途端、車の中に漂う雰囲気が緊張を持っているようにピリピリしていることに気づく。

暁くんも、奏多さんも、チラチラと外の眺めてる。もしかして、また追われてる…?

振り返り、後ろを見つめる。だけど、特に気になる車はなくて、どうして奏多さんたちが緊張しているのか分からなかった。

「あ、琴音ちゃんごめん。目隠しするよ」

思い出したようにアイマスクをつけられて、視界はふさがる。

周囲の様子は全く分からなくなったけど、屋敷に着くまでいつもより時間がかかって、奏多さんたちの緊張は最後まで解けなかったことはなんとなく感じた。