「…梨々香、いい」

「でも、ことねぇまだ熱…」

「いいから」

梨々香の手が離れるなり近づこうとしてきた琴音の傍に寄るなり、伸ばしてきた手が俺の服を掴む。

やっぱり熱い。抱きついてきた体も、荒い息も熱を帯びていた。

それでも離れようとしない琴音は、どこにそんな力があるのか疑いたくなるほど掴んだ服を握りしめていた。

「琴音、落ち着け」

「…………け、が…」

「してない」

服をつかんでいた手が離れて頬に触れる。確認するように触れてくる手も熱かった。

夜より熱上がってんじゃねぇかこいつ…。

「お前早く寝ろ、バカ」

「う~?」

「うじゃねぇ」

寝ぼけてる場合じゃねぇだろうが…。

額に触れれば、冷えピタが張ってあんのに熱が込もって全く冷たくねぇ。