季龍side

軽く殴っただけで気絶しやがった信洋に舌打ちする。

毎度毎度バカなことしやがって…。頭いい癖に俺に対して嫌がらせばっかしやがる。

毎度殴ってもこりやしねぇ…。

「バカなことしてんじゃねぇ」

気絶した信洋をそのままに靴を脱ぎ廊下を進み、部屋を目指す。

とりあえず休んで、すぐに動かなきゃなんねぇ。舛田の今後も、残党の始末も早く済ませることにこしたことはない。

やることは山積みだってのに、気づけば向かっている部屋が違うことに気づく。だが、それをやめようとは思わなかった。

自然と足が速く進む。

らしくねぇ、分かってる。分かってるのに足が進む。後回しにしても構わねぇことなのに、やることは山積みで一刻も早く休んで動くべきはずなのに。

「…ッチ」

たどり着いた部屋の前で足を止める。

襖に手をかけ、一気に開けた。