多勢に無勢と言わんばかりに、あっという間に制圧される舛田たち。

その様子をぼんやりと見つめていると、頭を撫でられる。季龍さんに視線を向けると、鋭い目に捕らえられ動けなくなる。

「よくやったな。琴音」

でも、かけられた言葉は今までのどれよりもずっと優しい。

だから、自然と気が緩んで、体の力が抜けてしまった。それでも倒れずにいられたのは季龍さんが腕ひとつで支えてくれているからだ。

「ってめぇ!!騙したのか!!」

不意に響いた声に体が跳ねる。

視線を向けようとしたけど、季龍さんに頭を押さえられてしまう。

「…ん」

見るなってことかな?季龍さんがそういうなら、そうしよう。大人しくしていると、撫でられた。うん、正解みたいだ。

季龍さんの服をつかむと、それでいいと言うようにまた撫でてくれた。

「ッ聞いてんのか!」

「あーあー。さっきからうっせぇなぁ」

騒ぐ舛田に、冷たい声がかけられる。その声は多分、信洋さんのもの。

見ようとしても、やっぱり季龍さんに止められた。