無情にも時間は過ぎていく。
暁くんの反対をおして夕食を作り、いつも通り時間が過ぎる。
ただ、想定されていた変化は早々に訪れる。
「なんかねみぃ…」
「駆け回ってたからか?」
「ふわぁ…」
夕食を終えた辺りで多数の人が目を擦ったり、あくびを始める。一見異様な光景に見えたけど、眠気のお陰か誰もその事を指摘しない。
「琴音、さっさと風呂入ってこい」
「シャワーだけでもいいから。すっきりしておいで」
暁くんと奏多さんも平気そうな顔はしているけど、気を張っているようにようにも見えた。
言われた通りにお風呂に入ったはいいものの、部屋に戻ると暁くんも奏多さんも座り込んで眠っていた。
一応確認で暁くんの頬を引っ張ったり、奏多さんの肩を揺さぶってみたけど起きる気配がない。
他の部屋も回ってみたけど、誰も起きていない。この静寂が怖い。
この静寂が打ち破られてしまう。その引き金は私だ。


