ラウの入れてくれた紅茶カップを両手で包み、
中の紅茶をゆっくりと揺らした。
ラウもまた、私と同じようにゆっくりと紅茶を揺らし、
長いまつ毛を伏せながら、静かに口に含んだ。
「ねぇ、ラウ」
「うん」
「……私さ、琉衣のこと、好きなのかな」
「……
え?」
「……今日、葵に告白された」
「……え………え?」
「……好きって……どんな気持ち?……」
「え」
ラウは困惑してるみたいだった。
私はラウの目を見て言った。
「……ねぇ、ラウ。好きってどんな気持ちなの」
「……」
ラウは、慎重に言葉を選んでるようだった。
少し俯き、受け皿の上のカップを見つめていた。
私は、ラウの唇が動くのを待った。
「……定義は、人それぞれなんだと思う」
「……」
ラウはゆっくり続けた。
「理屈じゃないんだ。
好きでいる事が義務のように感じたら、それはもう好きじゃない」
ラウは、私の瞳を真っ直ぐ見つめた。
「……義務」
ラウは、私の心を見透しているようだった。
でも、少しそれは違う。
「家族愛と恋愛は、違うんだ」
私の愛と琉羽の愛は、すれ違っている。
「……ラウ、話がズレてる」
「違わないよ」
「ラウ……」
「好きって言うのは、
相手の幸せを願うことなんだよ」
「愛おしくて愛おしくてたまらない人と
隣で暖かく微笑み合う
そんな些細なことで満たされるような
小さな幸せの集合体。
そんな未来を想像することじゃないのかな」
……
「私は……死神のみんなの幸せを願ってる
琉羽にだって幸せでいてほしい」
「自分にとっての大切なものの
境界線なんてしっかりしてないさ」
「……もう、やめて」
「確かに家族愛と恋愛は違うって言ったよ。
家族愛は、見返りは望まなくたって返ってくる
恋愛は、いつだって一方通行だよ」
「やめて、ラウ」
「一方通行だから、
良かれと思ってしても、相手が幸せになるとは限らない
そして相手が応えてくれないと、
その愛は歪んでいく」
「やめて」
「歪んだ先にあるのは
自己中心的な”好き”」
「やめて!」

