眠たい王女様は夢うつつに現実をみるⅡ





ぽかん、と口を開けて、暫く無言になったあと

葵はぷっと吹き出した。



「っくくくくはははははっっ琉衣それマジで言ってた!?」


「……まじ……って?」


きょとん、と首を傾げる私に

葵はお腹をかかえて笑い出した。


「どこまで鈍感なんだよったくっははははははは」


……私別に鈍感じゃな……











……初めて、見た。


こんな大きく口を開けて笑う葵。


いつもどこか押さえつけたようなクールさを装っていたのに。



「……」



葵は、こんなふうにも、笑うんだ。




「……ん?なんだ、琉衣」



気づけば私は葵のことを凝視してたらしく


葵は少し顔を赤らめて尋ねた。



「……なんでも、ない」


「……そっ……か?」



そうこうしているうちに、

自販機の前にたどり着いたようだった。


私が自販機の前からそれたから、葵は

私の前で千円札を自販機の中に入れた。


がこん、


という音ともに落ちてきたコーラを拾うと

お釣りを出さないまま

葵は私の方に振り向いた。


「……琉衣」


「……え?」



顎で自販機を軽く指すと、奢る、と一言だけ


言ってまた私を見る。


「……じゃあ」


私がボタンを押すと、葵は少し眉を上げた。


がこん、


「珈琲、好きなのか」


落ちてきた珈琲の缶を持ち上げて私に差し出す。



「……嫌い」


私は葵の手の中の缶を受け取った。


「……じゃあなんで」


……



「……嫌い、だった」


プルタブを上げてひと口飲んだ。


……やっぱり、ラウのが一番美味しい。






珈琲は、嫌いだったけど


ラウの珈琲のお陰で、好きなった。


カフェオレはまだ、ラウの作ってくれたやつしか飲めないけど。



「……ありがとう」


葵の目を真っ直ぐ見上げて、私は微笑んだ。



「………おう」


「屋上、戻ろ」




くるりと踵を返す私の手首を

葵が掴んだ。


「……葵?」



「……なぁ、琉衣。




……俺、お前のこと、好きなんだけど」





……え








「……俺と……付き合ってほしい」
























……













「……私には……琉羽がいる……から……」



ごめん、と最後までは言えなかった。





「……そっか。


わかった。



……このことは気にしないでくれていいから。



今までの、関係に戻してくれればそれでいい」


どうやら、葵は笑顔を作ったらしかった。


……らしい、という曖昧な表現なのは、








葵の顔を直視出来なかったからだ。









なんでだろう。



私は今まで何回か告白されて


それをこっぴどく振ったことは何回もあった。




……でも、今私が感じてる胸の痛みなんて


その時は全然なかったのに。




なんでだろう。








なんで……?


なにより、不思議なのは












……いいよ、と動きそうになった自分の口だった。











「……あお」



「屋上、戻ろうぜ」



葵は、私を振り返って小さく微笑んだ。











きっと私は、酷い顔をしていたんだろう。


葵は優しく私の頭をぽんぽん、となでた。






「……うん」








……葵は、


私のなにを好きになったんだろう……。









空っぽの私の



……なにに良さを見出してくれたんだろう。