右を見れば煌月。
左を見ても煌月。
今私は、煌月が学校で溜まり場としてる屋上にいる。
……もちろん、シエルも一緒に。
私達が煌月の仲間だと発表されたあの日から、
1ヶ月近くが経とうとしてた。
蝉の声が今を盛りと言うようにわんわんと響き渡って
溜まり場での私の行動範囲は
給水塔の日陰内へと狭まった。
日向では何がいいのか、
煌月の面々がプロレスのように組み合ってじゃれている。
なにもこんな暑い夏にやることないのに。
見てるだけで暑苦しい。
喉が渇いてきた。なんか自販で買ってくるかな……
重たい腰をあげ、財布の入った鞄を持ち上げる。
「……どこ行く?」
……びっくりした。
「……起きてたの……葵」
私のすぐ隣で、葵がさっきまで頭に載せて寝ていた
雑誌を片手に見上げてくる。
「今起きた……帰るのか?」
葵は私の鞄を一瞥する。
「……私の家は自動販売機じゃない」
葵に財布を出して見せた。
「……俺も行く」
まだ眠そうなまぶたを持ち上げて、
葵も自分の鞄を持つと、立ち上がって私の隣に並ぶ。
「……うん」