左右どちらの退路も絶たれ、完全に逃げ場を失った哨は伸ばしていた足を折り曲げて身をすくませる。

顎を引き、警戒するように上目遣いでハロスを見る。


「・・・・・・・何よ」


「わかんねぇ奴だな、あんたも」


ハロスはベッドの飾り板から手を離し、その手で哨の右足に触れた。

昨日、画鋲が刺さって怪我をした足だ。


「この傷、誰が治療したと思ってんの?
人間なんて小さな傷で簡単に死ぬんだからさ、そうならないためにも大人しくしてろって言ってんの」